獣王星 第11話「希望」 ★×5

その作品世界を規定する、隠された大きな舞台装置があって、その舞台装置に弄ばれ、隠匿され、最後にその存在を知る。こういう作品全体を統制するトリックの種明かしに奔走するのはどちらかと言えばミステリー等の小説の手法であり、アニメではあまり無い珍しいケースの作品だと思います。
ただ不満点を挙げれば、その壮大な舞台装置をいかにインパクトあり気に、もっとも視聴者に衝撃を与えられる形で知らしめるかに終始した結果、人間関係やそこに生きる人々の生活が舞台装置を巡る周辺事情にまで格下げされ、非常に様式化された、人間味の無いものになってしまったように思われる。あくまでキマイラを規定する世界の真理が最重要描写であって、それを描くために予定調和の如く争ったり、血を流したり、死んだり、それらが「現象」レベルまで無意味化されている。
もう少し分かりやすく言えば、獣王星っていうのは演劇であって、アニメで無いと思う。彼らは生きた人間の生活を送ったのでない。ある一つの筋書きにしたがって、一人ひとりの登場人物が自分の与えられた役割を忠実に演じているに過ぎない。多分そこにある情緒も嘆きもト書きを読むような冷たさがあったと思う。それはちょうど、キマイラを見下ろす人々によって筋書き通りのシナリオを演じさせられていたように。これは一種のこの作品の作風であり、特異性ではあるが、どうもアニメには向かないでもない。最終回の次から次へと仲間が死んでいく場面なんて、あまりに悲劇染みていて、非常に嫌な言い方だが、滑稽ですらあった。
最後まで箱庭から抜け出せなかった獣王星は舞台と言うフレームの中ではあるいは人を感嘆させる悲劇になりえたかもしれないが、アニメというどんなものでも無尽蔵に描写できる自由度の高い媒体においては、見えざる存在に支配された人物のモノローグに落ち着いてしまったことが作品の意味を縮小させてしまったと思う。

プリンセス・プリンセス 第12話「姫の選ぶ道」 ★×4

そういえばこれの感想って2話だかそのあたりから全く書いていなかった気がする。なんていえばいいんですかね。一度「これはギャグアニメだ。」と規定した辺り、別に第8話までは問題なく視聴できたんですよ。でも、9話の裕史郎の家族問題が浮上した辺りから作品の空気が急変、正直どうしようかと思った。私の気持ちとしてはアニマル横町のあみが実は壮絶ないじめ・虐待を受けていて、それをアニ横トリオと一緒に解決していこう並の作品の方向転換だった。
別に違和感と言うほどではなかったですけど、もはや別のアニメを見てる心地がしたのも事実。自分の中で生まれたその不整合を乗り越える手段は「彼らの悩み、それすらもギャグと捉える」というとても稚拙なものだったのです。いや、すまん。生徒相手に「お母さんを下さい!」と告白する教師、姫のリアル彼女に、ストーカー妹。ギャグだろ。


ただの人間には興味ありません。
「亨姫!行かないでー!!」
「転校なんてしないでー!」
「亨姫行っちゃヤダー!」
「君の応援がなかったら俺たち勝てないよー!」
「亨姫がいなくなるとホームラン打てないよ〜」

と呼びかける一般生徒を見て、思わず泣いた人がいたら、あたしのところに来なさい。以上。


どう見ても最終回もギャグです。本当にありがとうございました。

超星艦隊セイザーX 第38話「友情は時空を越えて・・・」 ★×7

当たり前で誰も言わないし、誰も言わなくなってしまったから皆忘れてしまったことを、これでもかと言うほど、熱く語りかけた作品。「争いがなくなればいいね」なんて言ったところで、はっきり言ってそれで争いがなくなるんだったら誰も苦労なんてしない、言うだけ無駄なことなんでしょう。でも、誰もその当たり前のことを言わなくなったら争いがなくなればいいと思う人もいなくなるだろうから、やっぱり言う必要がある。そういう役割を担ったのがこの作品だと思うわけですよ。
ただ、私みたいにロジックに固執するような人間には、毎回感動の連続でも無い限り、ちょっと興味を持続するのが大変だった。その点、作品全体として成功だったかといえば、もう少し何か欲しかったような。しかし、最終回はそんな不満も払底するくらい、いい話だったと思います。泣いた!
男泣き
セイザーXよ、永遠に。。。