夢使い 第十二話「夢仕舞い・塔子の選択」 ★×6

父子相姦願望も、同性愛も、虚無への回帰も、近親相姦願望も、何もかもひっくるめて「夢=潜在願望に良し悪しは存在してない、どんなことでもそう願うだけの権利がある」というのがどうやら、今作の結論のようです。
理屈ではそのとおりです。人間が心の中でどんなことを思おうが、それは犯されざる神聖の領域なんでしょう。ただですね、あまりに圧倒的過ぎた第九話に対しての解答編が燐子の言う「たまたま現実のルールに合わなかった」じゃ、あんまりじゃないですかね?確かに「夢をどうするのかの選択は自分がする」というスタンスの夢使いにおいては、親切丁寧にルールに合わなかった後どうすればいいのかまでフォローする必要も無いのかもしれないですが…。
それにしたって、最後塔子の選んだ、父への思いはあくまで思い出の中に、と言う結論も実に社会派な結びと言うか、世捨て人とまで言い切ったんだから、社会の通念に囚われない自由な発想での結末を描いて欲しかったとも思うのが事実。この作品に限ってはキレイな終わり方で無理にしめなくとも、多少わだかまりの残るくらいがちょうどよかったと私は思う。
案外「お悩み相談」レベルの夢ならばスッパリと割り切れた答えを提示してくれる点、気持ちのいい作品だったのですが、「人間の普遍的な悩み」のレベルの夢になると、もごもごとどうも言いたいことがはっきりしないことが多い気もしました。まぁ、視聴者と一緒に作り手側も答えの出ない問いに挑んでいるという点ではインタラクティブと言えるのかも知れません。