XXXHOLiC 第一話「ヒツゼン」 ★×7

この作品のいいところは、甘ったるくないところ。というより、苦い。
妙に説法染みてはいるが、なるほど人間の普遍的な真理を捉えていると思う。
今回の後半部分のお話はアニメオリジナル。でも、あれですね。いますよ、「自分が不幸であると思い込むことで気持ちよくなってる」人は。自分が不幸だと思い込むと、やっぱりどんな事態でも否定的に捉える。そういう姿勢で物事に臨むと、やっぱりその物事も失敗してしまう。何故なら「どうせ自分はなにやっても無理だ」と思ってやったことが成功することはそうないから。今回の行間を読むとしたらこんなところでしょうか?
そしてこの話の特異な部分は、そうやって「思い込んじゃった人」に対して救済が無いこと。あのアヤカシに取り付かれちゃった人もあのまんま。自分自身が気持ち良く酔ってるんならそうすればいい。でも自分で気づかなくちゃ何にも変わらないし、誰かが不幸を取り除いてくれるなんて期待しちゃいけない。これが甘ったるくないゆえんですね。
作品全体としては、アヤカシの存在のインパクトがよく表現できていたと思います。原作の一枚絵でアヤカシを見せる技法とは違い、物量や色彩でインパクトを出せていた。やっぱり冒頭の追われる場面はコミカルですし、あの赤い瞳とか、気持ち悪くてインパクトありますよね。
それと侑子の店での対話劇。興味あるトピックスを常に提示し続けようとする努力が見られ、作品の重要概念を楽しく理解できたと思います。専門的な言葉を使うにしろ、やっぱり説明にはこれくらいの配慮は欲しいという模範的な例。
表現面でもメッセージ面でも卓越した作品でした。