ARIA The NATURAL 第4話「その ネオ・ヴェネツィア色の心は…」 ★×7

感想サイトぐるりと回ったけど、あまり誰も指摘していないので、天野こずえ信者として指摘しておきます。あの話に出てきた「空君」と「綾乃さん」は、天野こずえ短編集「空の謳」の「魔法の郵便屋さん」に出てくる魔法使いのお姉さんと、お姉さんに片思いの少年です。でも、涼子ちゃんはいませんでしたね。ザンネン。
その短編のテーマが確か「手紙は言葉以上に思いを伝えられる」というものでした。作者自身も手紙と言うものにかなりの思い入れがあるようで、手紙と言うテーマは天野さんの特に書きたいテーマの一つなのかなぁ、と私は思っています。
そして、本編。前回第二話、三話では二つのエピソードを一つにくっつけたりというやり方でしたが、今回は一編にアニメのオリジナル部分(空と綾乃のエピソード)を挿入する方法でした。これによって、原作で語られていた「手紙の素晴らしさ」というメッセージを上手く膨らませていたと思います。やっぱり一つのエピソードに終始したほうが、主張をするという点では良いものになるなと思いました。
それと、これが良いことなのか悪いことなのか分かりませんが、空君の登場はARIAという世界からは若干外れた感じで、もっと別の物語の(あるいは現実の)登場人物がひょっこり現れたような感じもありました。もしかしたら単に私が「別の短編のキャラ」という偏見で見てたからだけなのかもしれませんが。ともかく、そういうちょっと異質な、いってしまえば不思議の国の「アリス」のような男の子の願い事をARIAという世界の住人が叶えてあげるという構図が、このアニメで語られる言葉の「有効性」、作品世界の中では留まらないメッセージの影響力を印象付けていたと思います。作品世界に縛られない、現実にも広がりのあるメッセージって大切ですよね。「手紙」という題材も、ARIAにしては随分現実的な題材だと思います。
もう一点感銘を受けたのは、短編時語られていた「手紙は言葉以上に思いを伝えられる」というメッセージを踏襲した上で、「口で発することでしか伝わらないもの」の存在も否定しなかったことです。なにか一つのことを伝えようとすると、それと対立するものをないがしろにしがちですが、今回の話ではそんなことはありませんでした。
私自身は、基本的に「口で発したもの」しか信用しないタイプで、メールなんかの文書は極力使わないようにする人間なんです。口で発したものは、文書で発したものよりも、意味も、空気も、人間も、遥かに多くの量が伝わると思っているからです。ただ、その場で伝えるだけでなく、形として残したいものもやっぱりあります。今、誰かと関わると言うことはその場限りでなく、この先も「何らかの形で」あり続けて欲しいと思うものじゃないですか。そういうときに「手紙」に代表されるなんらかの「形」に残せたらな、と思ったときに、言葉でなく「形」にしようと思うんですよね。私は「一生手で触れることの出来る心」なんてことは信じちゃいません。けど、そうなって欲しいと思い、願ったことが「形」として残っていくんじゃないでしょうか?だからそういうものには「心を込めて」書いたり、作ったりするのです。それがメールと手紙(もしくはそれと同等の形あるもの)との決定的な違いだと思います。そんなことを今回はぼんやりと思いました。


もう恥ずかしいことへのフォローはいらないよな?(笑)もっとみんな素直なれよ。