夢使い 第5話「家族模様」 ★×7

今回の話で思ったのが、夢使いは別に暗いオチにしようとしているのでなく、人間の本来的な願望という観点で見たとき、もっとも可能性として考えられる結末を描いているというのが本当のところなのではないかと。
夕食の時間に家族の姿はなく、おばあちゃんが一人。この終わりは、やはり自分より家族を消してしまったという意味ですよね。正直に言いますと「同時に自分を疎んだ家族を消してしまいたいという願望も持っていた」と告げられたとき、ギョッとしてしまったんですよ。確かにそんなことはちょっと考えればすぐ分かることなんですけど、でもそれは登場人物が口に出しちゃいけないタブーのような。前回のARIAの感想を思い浮かべてもらえば分かると思うんですけど、俗世的な人間感情は基本的に露出させず、美化するのがアニメだと思うんですよ。でも夢使いは容赦なくそれを暴いて見せた。これは笑ウせぇるすまん辺りの時代に見られた旧時代のアニメ構造の再現のようでもあり、夢使いが一時代昔の作品の趣を持つ一要因でもあるわけです。
人間の欲を包み隠さず、ありのままに示してしまえば、例え家族といえど、他人より自分のほうがかわいい、そんな結論に至る救いようのない終わりになってしまう訳です。第1話だって、事件が解決したからって、その当事者の問題全てが解決する訳でない。第3話も、ある人間が救われたからって、他の人間の欲望が果てる訳もない。第4話も、結局最後人間は甘いほうの世界にすがる。今考えると、どれも救いようのない人間のどうしようもなさにまみれた話ですね(笑)でもそれが夢使いの持ち味。