僕等がいた 第一話 ★×7

これは面白いです。御大としては、かなり推したい。プロが恥ずかしいと言っていたから、いかほどのものかと思いましたが、私としては全然恥ずかしくないです。これはもう少女マンガの場数の問題です。
総じて、線の少ない、淡めの色彩を基調とした、それでいて目にだけはかなりの描き込みを凝らした、いかにも少し前の少女漫画もののアニメを思わせる作風。主人公の七美の視点から見た一人称形式を利用した、ちょっぴり先走った想いと勘違いと、そこから現れる恋する乙女視点からの日常のやや心象に近い風景。あくまでストーリーを語るときはクラスメイトとの会話からのみ情報を引き出し、ごくありふれた風な会話にのみ情報を限定することで、無理のないするすると流れるような展開と、学生生活の原風景としての大衆劇を獲得している。
技法的に、非常に慣れているが故の妙技が光っているなと。流石大地監督、分かっていらっしゃる。
物語としても、なるほど象徴化されたステレオタイプに埋没しないで、人物を人物として描こうとする志も感じられると思う。矢野の笑顔はどこか「これ以上は入ってきてはいけない」と告げているようだし、山本の拒絶はどこかそうすることで何かを認めたくないことの意思表示にも見える。いや、あくまで印象なんですけどね。ここまで細かな人間感情に配慮できている点、やはり少女漫画原作モノにしかない醍醐味ですな。