つよきす Cool×Sweet 第5話「アルバイトはキケンな香り」 ★×7

どうやらこの作品のことを見誤っていたようです。つよきすっていうエロゲーが原作だとか、そんなのは関係なく、これは正統な意味でのトライネット作品ですよ。正直な話、ガーゴイルよりもトライネットしてるなって感じました。
そもそも、キャラは定型化した性格を演じることに終始するのがこの作品のスタンスかとも思っていましたが、どうやら違う模様。蟹沢は蟹沢のまんまずっと素奈緒にけんか売り続けるのが役割かと思いきや、今回の和解エピソード。蟹沢はキレやすく、いつも意地悪く人に当たっていないと気がすまない奴だと思えば、自分が悪いと思ったことは頭を下げて謝罪するだけの誠意はあったり、例え気に入らない相手のことであっても、良い点を見極めてそれを素直に認められるだけの器の持ち主であったりする。
つまり『つよきす Cool×Sweet』ってアニメは、ツンデレという二面性で還元出来るものでなく、しかしもっとシンプルに「素直になれない」ってことがテーマなんでしょう。だからお互い誤解が生じる、本音が言い出せない。皆がみんな「素直になれない」事情を抱える中、近衛素奈緒という、率直で、物怖じせず、筋を決して曲げない、その生き方に周囲が共感を抱き、素直になってみようと思うようになっていく。と、こんなお話ですよね。
私としては、単なるツンとデレの二項対立にまで記号化された属性としてのツンデレ作品より、人間誰しもあるような意地っ張りや照れ隠しに基づいた、記号に還元されない部分の感情表現を描こうとする、ツンデレじゃない「ツンデレ」作品というスタンスに今回非常に好感を抱きました。
それでいて、素奈緒と蟹沢の人間関係は決して複雑でない。お互いがお互いの言いたいこと、筋を通すべきところでしっかりそれが表現できれば、万事うまくいく。この作品で描かれる人間関係はこれくらいシンプルでいい。甘ったるい萌えアニメよか、よっぽど清々しいアニメだと思いました。