N・H・Kにようこそ! 第12話「オフ会にようこそ!」 ★×5

あぁ、分かった。この作品の基点は「気づき」なんだな。たとえどんなに引きこもって人より変化の少ない生活を送っていても、生きているんだからふとしたきっかけで、昔の行いが間違っていたこと、こうすれば正しい生き方なんじゃないのか、それに気づくことがある。それがこの作品の主軸であり、その繰り返しがNHKなんでしょう。
それだけだったら、とても前向きなお話なのですが、これがNHKにようこその作品をつかさどっているリアリティーと言いましょうか、その瞬間自分が気づいたおかげで「生まれ変わった、これから先はもっと素敵に生きたい」と思ったところで、その人間の内面的変化になんかは他人は無関心なんですよ。周りが自分の生まれ変わった気持ちなんか察する訳も無く、キレイな気持ちで接しても、あくまでいつもと変わらない汚い態度で接する。当然その生まれ変わった気持ちも刹那的なものだから、その刹那的なものを永久的な変化にするような起爆剤がない以上、結局は萎えてしまう。そういう「キレイな気持ちになった」気分的高揚を徹底的に否定して、人一人の決意なんてぶっちゃけ意味ないですよ、それにあわせて世界が変わるなんて事はありえないですよ、と物語り続けるのが、つまりこの作品の本質。
今回の自殺オフオチはそういう皮肉なんでしょうね。そもそも、とことん努力を怠った上で、落ちるところまで落ちてから、自分のクズ人間具合も思い知った後に、シンデレラストーリーよろしく、新しく生まれ変わった自分を偶然の状況に投影するっていう、その発想方法がいかにも「ひきこもりのオタク」なんでしょう。耳の痛いお話です。う〜ん、つまりリア充はそもそもそんな変わりたいなんて思わなくても、社会的に受け入れられる人間性が生まれた時点で備わっていて、勝ち組も負け組みも大抵はその性質はある歳になってしまうと変わらないということでOK?