乙女はお姉さまに恋してる 第12話「ラストダンスは永遠に」 ★×6

最後には瑞穂自身の物語じゃなくて、貴子の物語になりましたね。薄々は思っていましたが、瑞穂が主人公じゃなくて、貴子が主人公なんじゃないでしょうかね、このアニメは。瑞穂が悩んだ結果行動する、というよりは、最後に決断するのは貴子であったり、まりやであったり。瑞穂の行動によって状況が動いたと言うよりは、行動の主体はあくまで他のところにあったかなぁ、と。瑞穂と言う状況をめぐる女の子達の物語であった訳で。
そう思えば、今回の話の最大のキモは貴子とまりやの和解の場面なのでしょう。二人が似てるといえば、我が強いところや、自分が正しいところを基点にしてるところや、肝心の場面に弱いところは似ていますね。徹底してるんだけど、徹底しきれない弱さが。この、意固地で徹底してる態度を崩したところが彼女らの言うところの「変わった」という意味なのでしょう。
たとえば、貴子は瑞穂に弱さを吐露するようになってから、無理に強いフリをしなくなり、まりやは瑞穂と今までの関係を続けていきたいとする願望と恋人になりたいという願望の葛藤から、貴子との間にも言える今までの関係を覆す勇気を得たように。
そう考えると、実のところ今作は恋愛モノというよりは、瑞穂×貴子×まりやの三角関係に移行するための、貴子×まりやの複雑な友情物語とも捉えられますね。恋心という要因によって、貴子とまりやに、お互いの意固地さの「気づき」の機会を与えられた。だから、ラストダンスの結末も、瑞穂と結ばれてオシマイでなく、貴子とまりやが和解した上で、改めて宣戦布告をする、二人の新しい関係が示されてオシマイになる訳で。つまり、恋をきっかけに変われた貴子とまりやの友情物語。12話以後の展開を恋愛モノと呼ぶのではないでしょうか。そう思えばメインヒロインと思われた紫苑にスポットが当てられなかったのも納得。


作品全体としては、展開が早足過ぎたため、説明不足の点が多々あったと思います。今回で言えば、何故貴子に男とバレたことが学園を去ることとイコールになるのかとか。前後の場面のつながりがおかしな時が多かったです。やっぱり2クールじゃなかったことが悔やまれるなぁ。尺が短いせいで、個別キャラに一話割くのが限界で、奏や由佳里や紫苑が活かしきれなかったなぁ。もう少し尺があれば、エンディングの温泉卓球も見れたのでしょうか。
それでも、一子は楽しいやつだなぁと思えたし、まりやはベストフレンドにしたいと思ったし、貴子は大逆転で個人的にはおとボクで可愛らしさでは頂点に立ったと思います。なんだかんだで、主要キャラはキャラクターコンテンツとして相当に充実していました。なんだかんだで楽しかったですよ。