D.C.II〜ダ・カーポII〜 第13話 ★×8

本当は評価は5くらいにしようかと思ったのですが、考えるところがあって、8に。ここまで評価が変った最終回も珍しい。
最初に見終わった後は、「俺も学生運動に参加したいぜ!」の一言で感想終わりにしようかと思ったんですけどね。もうひとつ、先週の小恋と別れたから、最終回でもう一度恋人になるって展開があるんだろうなって思ってたから、まさかの和解無しENDですっごい消化不良感に苛まれた。だから5くらいが妥当かな、と。


でも、まず風見学園の生徒達についてよくよく考えてみると、確かに学生運動のノリで周りのお祭り気分に乗じた部分はあったでしょう。だからボイコットだけなら、そこまで評価に値する行動でもなかろう。
しかし、天枷の卒業式に全校生徒がしっかりと参加してるんですよね。あれは考えてみると凄いことだと思う。基本的に自分に直接関係無い卒業式なんてかったるいと思うし、あれに参加する義理も特には無いとは思うんですよ。
天枷のためかどうかは別にしても、少なくとも「天枷を祝う」というイベントに魅力を感じてくれたってことでしょ、全校生徒が。天枷をよく知らない人たちも「卒業式?なんかそれって良くね!?」というノリで集まってくれたのだと思うと、確かに前回の感想で「こいつらは馬鹿だ」と言いましたが、彼らは「いい馬鹿」だと思います。人を喜ばせるためのイベントを無条件で「良いもの」と判断して、実際に集まってくれた良い馬鹿野郎達です。
そんなめんどくさいイベントサボる人間が結構出そうなものですが(実際、全員参加だったかどうかも分からないですが)、見る限り全員参加だったということで、その点で現実的ではない。全校生徒による卒業式はやっぱりファンタジーです。ただ、あの場面見るとちょっとウルッとくる訳ですよ。天枷を皆で蔑んでいたような数の暴力があるように、数の善意っていうのもあるんだなって。アニメなんだから、これくらいのファンタジーはあっていいんじゃないかと思う。
それが評価を変えた理由その1。


もう一つは、小恋と義之が別れたまま終わった件に関してかな。自分にとってこのアニメのメインは小恋との恋愛模様だと思っていたから、あの終わり方は腑に落ちなかった。別れたまま終わるっていう中途半端さもそうだし、それでも普通に義之に関わろうとする小恋もそうだった。
しかし、前回のラストの部分を見返してみると、確かに小恋と義之の付き合っていた関係には考えた結果、小恋なりに区切りをつけているようでした。その上で、ななかに「義之とどう向き合いたいのか」と言われたとき、彼女なりに行動に出た。その結果が今回の卒業式。
つまり、このアニメってギャルゲー的な「義之から見た恋愛物語」でなく、「小恋から見た、失恋を経ての成長物語」だったんじゃないでしょうか。ここらへん、ギャルゲーアニメなんだから当然、義之の物語に収束するという偏見で見誤ってたな、と。(もちろん、大部分は義之の視点から物語が語られていたから、そう思うのは当然と言えば当然ですが)
少女漫画では、失恋を経て女の子が成長する物語って言うのは決して珍しくは無い。ただ、ギャルゲー原作アニメでそれをやるケースは少ない。まして、大抵の場合はその後にまた付き合い始めるものがほとんどだが、別れることを、また付き合うための手段としでなく、あくまで成長のための手段だと女性視点から割り切ったギャルゲー原作アニメは、少なくとも僕には浮かばない。男視点から、二人以上の女性をまたにかけて、一方と別れて、成長の結果もう一方と、っていうのはたまにあるんですけどね。
とまぁ、こういう理由で、ギャルゲー原作アニメとしては実に斬新な終わり方だったのではないかと考えているわけですよ。小恋の行動は守られているだけでなく、自分から何かを出来る、義之みたいな人間になりたいと思ったゆえの、義之の模倣ではありましたが、しっかりと成長した分だけの結果を示せたラストだったと思います。
これが評価を変えた理由その2。


トータルで、期待していたものとは違ったが、期待以上の出来に仕上がっていました。特に、風見学園生徒の熱意と、小恋の成長、二重の意味を持たせたラストは感動的であったと思います。