true tears 第4話 ★×7

この作品はなかなかどういうわけか、面白い。
まず、人物同士の相関関係が面白い。
愛子は実は眞一郎が好きなんだけど、眞一郎は比呂美のことが気になっているのを知っているから、野伏の彼女でいることで眞一郎の側にいる。つまり、まんま愛子がアドバイスしたとおりだったと。そう思うと、そういうアドバイスをしたってこと自体が「気付いてほしい」というメッセージがこもっていたとも言えるかも。
比呂美は比呂美とて、あてつけのつもりで言った先輩が好きという発言を聞かれてしまった矢先、本当にあるのかどうかも分からない好意を繕う訳で。
乃絵のお兄ちゃんも、前回の話までは妹にご執心なシスコン野郎だと思ってたのに、妹と付き合ってくれと言い出したあたり、独占欲よりも自己犠牲の方が強い人間なのかな、と。
こうやって一話ごとに色々と人間関係を推定していくわけですが、話がまた一話が進むごと人物相関図がすぐに書き換えられていくんですよ。誰か毎週人物相関図を書いてまとめてくれないかなってくらい。この作品には実は宇宙人だった的な驚愕の事実は無いけれども、出来事を俯瞰的に捉えて見えてくる新たな人間関係の発見が、毎回を新鮮な気持ちで見させてくれるんですよね。つまり、目まぐるしい人間関係がこの作品の魅力の一つかな、と。
もう一つは、以前も言ったような出来事にファンタジーを与える目線かな。実のところ、彼らの恋愛模様っていうのは妬んだり、あてつけをしたり、かまをかけたりで、意外と生々しい。キミキスなんかと比べると、漫画的な甘酸っぱい恋のストーリー、という括りには出来ない、どちらかといえばドラマに近い恋愛モノだと思う。それに比呂美の境遇なんて結構シビアですよね。渡る世間はうんちゃらかってくらい。でも実際あれに近い雰囲気はある。
つまり、このアニメって他の作品に比べれば、内容が生々しいんですよね。比呂美が、本心を隠すために先輩が好きだと言った嘘(と自分は思っているけど)を眞一郎に聞かれてしまい、それを正当化するのと同時に、自分の本心を酌んでくれない相手へのあてつけ、嫉妬心を抱かせるためのモーションとして、先輩を好きになった経緯を出来る限り克明に語る場面なんて、自分としてはかなりリアリティがあるなと、感心してしまいました。女ってこええな、って。
このアニメは放っておけばどこまでも淡白で生々しいものになるんでしょうけど、そこで乃絵が不思議ワードや不可思議行動を取ることで、作品をファンタジーにしてるんですよね。もうひとつ、眞一郎の絵本のモノローグか。それが、ドラマでやればいいような話を上手いところアニメの色彩を与えてるんでしょうね。
乃絵のおばあちゃんの話を聞く限り、涙をあげたというのも誇張のようだし、やはり乃絵の言動がファンタジーなんだろうな。こういうのは最後の最後で本物のファンタジーをひとつだけ混ぜるくらいが生々しい物語に感動を与えるには丁度いいのかも。