キミキス pure rouge 第24話 ★×6

光一が、ずっと摩央姉のことばかり考えて頭から離れなかったのは随分と前から明らかなので、結末としては妥当だと思います。あえて言うなら、視聴者から見て、光一が摩央姉のことを気にかけていたのが、好意からなのか、申し訳なさからなのか、最後の最後まで判断する材料がなかったという点で唐突ですが。少なくともキャンバス2みたいに「最後の最後で駄作になってしまった」と某氏を落胆させるほどじゃありません。
そもそも、モラル上は一人の人間は、一人の相手しか好きになっちゃいけない訳ですが、感情的には二人も三人も好きになったとしてもそれはごく自然なことで。その点で、結美も好きだけど摩央姉も好きって状態も当然っちゃ当然で。その、両方とも好きな状態をあえて天秤にかけて、どっちの方がより好きなのかを決定した訳ですから、唐突に見えたりするのは当たり前ですよね。決断したのはキャンプファイヤーの時みたいですし。
しかし誠実ですよ、彼らは。絶対に二股はかけないのは当然として、他の相手を想っているだけでも、それはフェアーじゃないと言い、別れますし。好きな相手が、他の人を好きなら甘んじて手を引きますし。恋愛感情というのは、奪いたいとか独占したいとか、もっと荒々しいものだと思いますが、それに反して彼らは実に「模範的で道徳的な恋愛」をしていますよね。それがこのアニメを見ていてハラハラはすれど、イライラはしない、精神衛生上とってもクリーンな理由だと思います。古き良き恋愛の風景。
しかし、それが同時に欠点でもありますが。イライラしないというのは、その分感情が揺さぶられる場面が少ないのと同義です。やっぱ大衆はスクイズとかの修羅場アニメの方が好きでしょ?
総括として、修羅場アニメが流行る昨今、ギャルゲー原作でありながらあえて、極めて健全な恋の群像劇を展開した点が良くも悪くもキミキスの独自性なんだと思います。