夢使い 第四話「土曜星あらわる」 ★×6

そして偶然にもこちらも夢と現の世界のうち、どちらか一つを選び取る話。
ただ、踏み込みは夢使いのほうが上。この手の話の場合十中八九「現実逃避はいけません」という結論に至るんですけど、口先だけで選択の自由を唱えるだけでなく、実際に現実逃避の選択を尊重した上で、現実逃避を美化する締めくくりまで見せる徹底のしよう。
思うに、どんな結論でもよく見せようと思えばいくらでもよく見せられる。私が「現実逃避」をいう言葉を使っているから悪いことのように聞こえるだけであって、作中どおりに「好きな人を思い続ける」と言い直せばとてもキレイなことのように響く。つまりですね、事実というのはそれを観測する人間が悪意を込めるか、好意を込めるかによっていかようにもなってしまうあやふやなものなんですよ。おそらくそれが今回の夢使いの話の最大公約数のテーマだと思いました。
多くの物語は「現実逃避はいけません」という落ち着きのいい教えに従い「幻想の話」→「最後は覚める」という筋を辿る中、あえてその逆をやってみせたあまのじゃくなところが非常に夢使いらしいとも思いました。このまま是非我が道を進んでもらいたい。