吉永さん家のガーゴイル 第6話「もう君の歌は聞こえない」 ★×5

正直に言ってしまえば、期待はずれ。このアニメなら私が前回述べたようなテーマを納得いくレベルまで昇華してくれると思っていたんですけどね…。
致命的なのは「描きたいテーマが何なのかあやふやである」こと。気に留めても仕方の無いちっぽけな良心とどう向き合っていくのかがテーマなのかと思えば、「植物とどう接する」というより単純に「友達と別れるのは辛いね」に主題がすり替わっている。双葉の態度も、花子を大切に思っているかと思えば、「取り込まれていて花子の心が感じられない」の理由でオシリスを焼き払わせたり、オシリスの中の花子は花子でなかったことの言い訳の様に花子は別のところに植え替えられていたり。結局、自らの主張に自信が無くて言葉尻を誤魔化しているように感じられた。
それに加え、気になったのはヒッシャムが植物を傷つけないだの、国のためだの言い出したことが唐突で脈絡が無かったこと。彼は悪い人ではない、そう言いたい気持ちは分かるのだが、それでは「ツンデレ」だの「ドジっ娘」だのと同等の、記号レベルでの「いいひと」にしか見えない。これは本作に初めから蔓延している作品的体質。みんないい人なのでなく、「いい人に見える行動」を機械的に実践しているだけにも見える。
これらの致命的欠陥のせいで、内容はせいぜい「いい話だったね」どまり。心を揺さぶるものが感じられなかった。やっぱりそういう意味ではキレイゴトをキレイゴトとして貫いたはっぴぃセブンに比べ、所詮二番煎じなのかなぁ。う〜ん。この作品には大いに期待している分、ザンネン。