つよきす Cool×Sweet 第12話「改めてよろしくッ!近衛素奈緒です!」 ★×6

最後は細かい理屈も、何を伝えたいのかも、関係性がどうとかも、それが良いか悪いかは別として、すべて振り切って駆け抜けきった感じですね。なるほど、刹那的高揚感を得るには十分なものだったと思いますよ、素奈緒の演説。基本的に学園モノは周りの雰囲気に煽り立てられて、その勢いのままになにかをやり遂げるっていうのにはその瞬間の楽しさで色々許せてしまう。それが学園モノの一つの醍醐味じゃないですか。
後から考えれば、素奈緒ってそこまで全校生徒に好かれるほどのことやってきたん?ただ皆偶像化してたり、面白そうだから煽ってるだけちゃうん?とかなるけど、まぁ、このアニメの場合それはもう考えなくていいでしょう。主人公がどんなに独善に基づいていても、演劇でおおきな失敗したりしても、そんなこと気にしない連中がこの世界の人間なんですよ。これはこれで心地よい世界だと思います。素奈緒のまっすぐな行動がどれだけの人間の心を掴むかどうかが主題であった以上、あれだけ盛大に素奈緒が歓迎される終わり方になったことは素直に喜びましょう。
逆に恋模様はこの際、アニメ化には蛇足だったとも思います。素奈緒に迷いを生ませるための一要素、障害として恋愛があっただけで、それが演劇という目標と同列にまで扱われるには少しむりがあったような。この際恋の結末は「描ききってしまうべきもの」でなかったからこそあのラストだと考えていいんですかね?いや、そこまで考えてないな、きっと。
総括としては、この手の勢いだけで駆け抜けるような作品は、骨組みである「テーマ」だけはしっかりしていれば、それだけで相当面白いものになるんですけど、そのテーマすらもぐらぐらしてしまった点でつよきすは残念でしたね。もっと一貫性があれば、あるいはという感じです。