ウィンターガーデン 前後編 ★×5

ごくありふれた舞台の、ごく普通の話を、普通じゃないキャラクターに普通にやらせてみたって話。
これをデジキャラットの正式な後継と捉えるには無理があるなぁ。礼儀正しく、遠慮し、内気なでじこなんてでじこじゃねえよな。ぷちこには若干ながら過去の片鱗が見られないでもないが。前編は完全に別作品のトーンだったとして、後編からのごくたまにはいるギャグのセンスやモブ表現やぷちこの挙動は相当デジキャラットを意識していたようだけど、やっぱり完全にデジキャラットとは独立した話として考えたほうが良かったような。うさだに他人として接していたのはなんか悲しみを感じた。
でもこれが「デジキャラットの続編ですよ」と銘打たなかったら、何を売りにすればいいのか、正直分からない部分もある。これだけ普通の話だと、地味すぎて上記のような共通点探しでもしないと、大抵の視聴者は逃げてしまうでしょう。
作品内容としては、こうゆう淡い日常の恋物語は嫌いではない。でじこの拓郎への最初の頃の会話で3秒ほど間が空いてしまったり、アルバイト先で顔見知りだけど親しくも無い相手にお客様口調と知り合い口調の中間で接するあたりは、かなりコミュニケーションのリアリティを大切にしていたようで、それなりに評価できる。こういうところが日常って言うラインから外さない工夫が凝らされていると思います。
逆に日常というラインから外さないばかりに、次の行動を起こすために大きな事件を起こすでもなく、偶然というファクターに頼らざるを得ない部分があるのは仕方ないかなと。まぁ、本編以外でもそれなりに会ってるようですし、一年のうちで起きた偶然を数回ピックアップしたと考えれば許容範囲かな。
問題点としては、後編は特に、デジキャラットのノリと日常の空気感がミスマッチを起こしていたこと。ぷちこの学園祭を見れば分かるでしょうけど、あれはギャグなのか本気なのか、よく分からない。でもぷちこは姉思いのいい奴。
一番気に入らなかったのは、あのオチ。ぶっちゃけ半分以上の人間は「あれは妹でした」オチは分かっていたでしょう?でじこぷちこの姉妹生活との対比もあるわけですし。割と最初らへんにそこに気づいてしまった身としては、「なにでじこはそんなこと本気で気にしちゃってるの?」となる訳ですよ。とりを飾る種明かしにしては、そんな誰でも分かることを今更言われても、って感じですかね。要はその後が問題なのに、そこで本編終わるし。消化不良な上に、すっごい損した気持ちになりました。未完の短編作品を見せられた感じです。