ローゼンメイデン・オーベルテューレ 「悠久」「虚飾」 ★×8

作品の出来としては極めて高いと思います。まずOP。歌もさることながら、映像は相当ツボですな。ああいう艶かしい水銀燈はかなりぐっと来る。剣を振り回す水銀燈の気狂いっぷりも好き。あの剣は本編でも振り回して欲しかったなぁ。真紅と水銀燈の並んでる姿って言うのはそれだけで絵になるよね。そして最後に銀様デレる。
本編。蒼星石との戦闘シーンは作画的に相当頑張っていたかと思われますよ。こういう、水銀燈みたいな攻撃的なキャラが戦えないとき、蒼星石って当て馬として便利だなぁ、とつくづく思うよ。武器ハサミだし、性格生真面目だし。それと、全員集合の桜田邸が見れただけでもあの頃の刹那的高揚を得られたので、大分満足した。
真紅に懐く気弱系水銀燈。これは賛否ありそうなところだなぁ。僕は、濡れた子犬の目で「捨てないで」と言ってる女の子は好きなので、ありだとは思う。黒い格好してダウナーなのは助けてやらんとな。ああ、そういえばちょっと知遅れっぽいよね。この水銀燈には罵ってもらいたいのではなく、飼いたい。
まぁ、あれだな。水銀燈の真紅への憎しみは愛ゆえってことだな。なまじっか一度愛情のようなものを育んだばかりに、かえってぶっ潰してやりたくなると。しかしこういう関係の根幹を支えるものを究極まで突き詰めると、ほぼ利用関係に行き着くので、理由さえあれば幾らでも恨めてしまうよな。要は園長ともんもんみたいなものでしょ?
えー、理論上真紅は水銀燈のことを見下しているので、水銀燈の主張もごもっとも。だってさ、真紅はジュンのこと下僕だって言うじゃん?そもそも他のドール見ても分かるとおり、契約関係にドール優位の主従なんてルールがある訳ではないし。それをあたかも当然の決まりごとのように言う時点で、相当真紅は他人見下してるっしょ。これは理論上正しい。基本的に真紅がしてることは「保護」な訳だし。雛苺を保護して下僕として扱うし、ジュンのこともときに母親のように面倒を見ては、下僕扱いだし。水銀燈のケースもそれに同様。真紅は決して人格者ではないよな。自己の満足心を潤すためにボランティア活動をしてるのに、「私は世界の恵まれない人のために頑張ってるんだぁ」と素で思い込んでるタイプ?いや、真紅はそこまで思考停止はしていないけど、その矛盾に気づいていて、あえて無視してるタイプ。実は真紅の腹の中は黒いっていう意見には同意だよ。そもそもこの作品自体がプライド高い連中の集まりっていう節もあるしな。この作品のテーマって自尊心だろうし。
総じて、生まれの劣りを覆そうとする水銀燈に好感だな。がんばれ銀様。