ディアルガVSパルキアVSダークライ

ここからは、映画のマジな感想。
結論から言って、駄目でしょ、これ。五作目までしか見ていない自分ですが、その五作のどれにも劣る出来ですね、はい。
思うに、劇場版のポケモンの面白さを担う三大要素って言うのが・ゲストキャラクター・舞台設定・伝説ポケモンの三つだと思うんですよね。なんか今回はその三要素が全部ダメ。
まずゲストキャラですが、トニオとアリスは完全に観戦モードじゃないですか。気球が落ちてから、サトシとヒカリに全部任せるなよなー。2〜5作目までは、ゲストキャラクターはサトシ達といっしょに困難に立ち向かうパートナーだったんですよ。ピンチを乗り越える中で、ゲストキャラクターとの間に生まれる友情であったり、信頼であったりの濃厚な関係が、ポケモン映画の魅力を担っているんじゃないのかなぁと思うわけですよ。
何でこんなことになったかと言えば、ゲストキャラが「大人」だってのがいただけない。大人だから、走り回ったり夢中になったりする子供達、つまりサトシ達にどこか一線を引いて見守っている立場なんですよね。だからトニオとアリスは、大人として見守る立場=観戦モードになっちゃうじゃねーのかと。これじゃ友情も何も育まれません。やっぱゲストキャラはサトシたちといっしょに走り回れる同年代の方がいいです。
次に、舞台設定ですが、時空の塔というギミック満載な場所は確かに子供心をくすぐるでしょう。だから最初は面白いんですが、物語終盤になると「とにかく高い塔を、ひたすら階段を上っていく」ためだけの場所になっちゃうんですよね。これは正直、面白くない。
後ろから空間の亀裂が迫ってきて、上へ逃げていくだけ。それまでの間に他の大きな障害物があるわけでもない。ただ後ろから穴が迫ってくるだけなんて、エンテイのときの、結晶塔の地面から結晶が無数に生えてくるトラップに比べたら全然危険なんて感じないし、迫力もない。飛べないエンテイが、生えてくる結晶に乗ってリザードンを捕らえる場面なんて鳥肌モノなのにな。あれに比べたら、今回の舞台に組み込まれたギミックは全然面白くない。
あと、伝説ポケモン。ぶっちゃけディアルガパルキアって単なる気狂いじゃね?1〜5作目の範疇で言えば、伝説ポケは皆がそれぞれの考えを持っていて、それを貫き通すために戦っていたんですよ。しかし、ディアパルは、なんつーか、暴れたいだけじゃん?ハブとマングースの戦いとなんも変わらん。最後はサトシに文句を言われる始末。こんな頭の悪い伝説ポケじゃあ、先代伝説ポケたちが泣く。
ダークライは、キャラとしては悪くなかったんですけどね。ぶっちゃけ行動に意味不明な点が多すぎて、共感も出来なきゃ、ラストでも泣くに泣けない。なんで町のポケモンダークホールで眠らせるの?襲ってきたからか、混乱を避けるためか。まぁ、町の人がダークライを襲ったのは、襲われたからだし、余計に混乱を助長してますが。「出てけ」と言う相手も違うしな。サトシに言ってどうする。
まぁ、初見で自分が理解し切れなかったという線もあるかと思いますが、問題は大学生の自分が考えても分からんことが、隣で見ていた少女や右から二番目の少年に理解できたとは到底思えないわけですよ。で、理解できないものには共感できないし、ダークライがお亡くなりになられても「はぁ、可哀そうですね」程度にしか思えん。そうすると、結局この映画は何が言いたかったのか自体が理解できない。サトシは「もっと早くダークライのことを信じてやれてたら」と言っていたが、その感情に至るまでのサトシの感情のプロセスに共感できない。推測ではサトシのこの台詞がテーマなんだろうけど、共感出来ずに、テーマそのものが死んでる。


とまぁ、数々の問題点のため、ぶっちゃけ今作は駄作です。以前のようなラストで不意に訪れる感動も、知らない世界を冒険するようなドキドキもありませんでした。頼むよぉ。